<前章「貴婦人」より>
沢田さんとの待ち合わせは金曜日の夜、都内の私鉄駅近くのレストランバーでの約束でした。
私と妻は予め別の場所で逢い、一緒に沢田さんとの待ち合わせ場所に行くことにしたのです。
二人とも日中はそれぞれの会社で仕事がありましたが、予定どおり終わらせることが出来ました。
携帯で連絡を取り合い、駅の乗換口で妻と逢いました。
妻には予め服装を指定していたのですが、実際に見るまでは少し気になっていたのです。
清楚な雰囲気と短めのスカートのバランスが取れた服装…
品がよく、男の潜在的な性的欲望を刺激するもの…
二つとも矛盾する組み合わせかも知れませんが、今夜、沢田さんが由香里と二人だけになるまでは私の妻なのです。妻の装いにこだわるのは、私好みの由香里の姿を彼に見せたいという願望の表れなのでしょう。
沢田さんと待ち合わせしたバーはすぐに見つかりました。
店のドアを開くベルの音で、貴子さんが私に気付いてくれました。彼女の素振りで沢田さんも私達を見つけると、「川島さん」と声を出してテーブルに招いてくれたのです。
ささいなことかも知れませんが、大勢の人がいる中で、貴子さんが私をすぐに見つけてくれたことがとても嬉しかったのです。
彼女も今日の約束を、きっと心待ちにしていたんだ…
私との一晩を待ち焦がれているんだ…
そんな想いを押し隠しながら、妻に気付かれないように、貴子さんの姿を見つめました。
今日の彼女は微かな光沢のあるグレーのツーピース姿で、彼女自身の魅力である品の良さを引き立てるものでした。
タイトスカートから伺う下半身のシルエットと美しい脚のラインに、霰もない場面が脳裏に浮かび上がります。
もうすぐ、この着衣の下に隠された肌の全てが自分のものになる…
今夜一晩、美しい人妻の貴子さんを、心ゆくまで愛することが出来るんだ…
開いた美脚の間に自分の下腹部を押しつけて、貴子さんの秘部を貫けるんだ…
私は挨拶もそこそこにカクテルを注文し、暫くの間、当たり障りの話題で由香里の「良き夫」を演じながらも、心の中では湧き上がる性の欲望に鼓動を高鳴らせていたのです。
>> 欲望と官能のブログをもっと見る(FC2)>> 男女の性に関するブログをもっと見る