自分のマンションの部屋に帰ってからも、頭の中から真奈美さんの姿が消えることはありませんでした。
それどころか、鮮明な映像となって幾度も繰り返し蘇るのです。
次第に私の心の中で、彼女の体で欲望を遂げるための卑劣な企てが芽生えます。
もしかしたら真奈美さんは、契約を取るノルマに追い立てられているのかも知れない…
さっきの電話だって、きっと会社の人に叱られていたのかも…
以前、ある人から聞いた噂話を思い出していました。
生命保険のセールスをしている女性の中には、契約を取るために、その体を客に差し出す人がいる…
厳しいノルマをこなすため、客の求めを断りきれず、一夜の関係を許すこともある…
初めはそんなことを信じてはいませんでした。興味本位なだけの、無責任な嘘だと思っていたのです。
でも、もしかしたら…
考えてみれば、10才以上も歳が離れ、結婚し妻として家庭を持つ真奈美さんが、大学を卒業したばかりの私を恋愛の対象とする筈が有りません。
10年早く生まれ、10年前に彼女と出会っていれば…
そんな行き場の無い想いを遂げる方法など有りはしません。あったとしても、それは作られた物語での出来事なのです。
私が真奈美さんを自分のものに出来るのは、欲望の衝動にかられた自慰の中でだけなのでしょう。
真奈美さんだって契約が取れたら嬉しい筈だ…
真奈美さんの彼氏となる願いの代わりに、僅かの時間でいいから欲望を叶えてくれたら、彼女との保険契約をしてもいい…
私は次第に理性を見失い、その卑劣な企てだけが真奈美さんを手に入れるただ一つの方法に思えたのです。
もしかしたら保険の契約と引き換えに、もう何人かの客に体を差し出しているのかも…
真奈美さんさえ承諾してくれたら、お互いの求めものを手に入れることが出来るんだ…
心に秘める卑しい夢想が、次第に私の中で現実の企てとして膨れ上がります。僅かに残った理性は、早まる鼓動の中に埋もれ、かき消されていくのです。
心臓の鼓動が胸を内側から叩くように脈打ち、自慰での吐精で処理した筈の欲望が再び頭をもたげます。
これは真奈美さんと自分との単なる取引なんだ…
彼女が応じてくれさえすれば誰も傷つかないし、お互いにメリットがあるんだ…
私は、性の欲に取り憑かれながら、自分の企てを正当化する証を見つけることで、理性の呵責から逃れようとしたのです。
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