私の手は真奈美さんの胸を着衣の上から這いまわります。手のひらに伝わる柔らかな感触と温もりが、その下に隠された肌への激しい欲望を駆り立てました。
出会った時から密かに求め続けていた真奈美さんの体…
虚しい自慰で満たすしかなかった彼女との淫らな交わり…
それらは全て、一度は諦めた彼女への虚しく儚い願望でした。
「ねえ 先に シャワーしよう」
彼女は私の顔を覗き込みながら手の動きを制すると、ソファーから立ち上がりました。
鏡の前にある小さなテーブルの前で、身に付けた時計を外し、私に背を向けてブラウスのボタンに指をかけます。
割り切った遊び… 駅のコンコースで真奈美さんが私に言った言葉です。
それにも関わらず、彼女の仕草には引け目や後ろめたさはありません。むしろ私には凛とした美しい姿にさえ見えます。
別居しているとはいえ、夫がいるのに何故…
真奈美さんは私に何を求めて…
彼女は衣服の下の肌をゆっくりと露わにします。後ろに立つ私を振り返り、戸惑いと欲望の混じる私の顔を見つめて笑みを浮かべたのです。まるで私の反応を確かめながら弄ぶ、妖しい魅惑に満ちた口元でした。
「立ったままでどうしたの 」
彼女の言葉が私の堪えを突き崩す引き金となりました。真奈美さんの背後から抱き付き、胸を隠すブラを剥ぎ取ろうとしたのです。ホックの金具に指をかけますが焦りのためか外れません。
落ち着け…
こんなことじゃ、真奈美さんに子供と思われちゃう…
彼女に相応しい大人の男性として振舞おうとした思惑を、若く沸たぎる性の欲望が突き崩します。息を荒げながら真奈美さんの手を掴み、ベットの方へと彼女を引き寄せたのです。
「待って… 痛い」
真奈美さんは手を振りほどくと、横目で私を見ながらベットの脇に座りました。呼吸を荒くする私の顔を見上げながらヒールを脱ぐと、静かに横たわります。
「川島くん、緊張してるのかな?… あまり経験無いの? 」
大人として振舞おうとしている私にとっては屈辱の言葉でした。
それまで数回のセックス経験しかなかった私は、女性に対して性的な満たしを与えることに自信がなかったのです。学生時代に交際していた彼女から遠回しにその事を告げられた体験が、コンプレックスとして深く記憶に残っていました。
「そんなことないよ… それなりの経験はあるから」
私は真奈美さんの言葉に対して、上擦った声で見え透いた言葉を返すことが精一杯でした。
彼女は口元で微かに笑いながら小さく頷きます。
女性として、人の妻として、性の経験を重ねた彼女に対する私の嘘は、子供の虚勢としか思えなかったのでしょう。
私はベットの上で真奈美さんの傍らに添うように横たわると、両手を彼女の背中にまわし、荒れる息を止めたまま抱き締めました。
ゆっくりと舌を絡め、首筋に唇を這わせながら、乱れた着衣から露わになる美しい肌への願望を必死に押さえ続けたのです。
時折、彼女の唇から漏れる艶めかしい息遣いが、ジーンズの下に埋もれた私の強張りを痛い程に膨れ上がらせます。
欲しい… 真奈美さんが欲しい…
眩い恍惚が降り注ぐ淫靡な香りが、堪え続けた願望を性の欲へと変えていきます。美しい魅惑に誘われるまま、張り裂けそうな欲望の捌け口となる彼女の体を抱き寄せたのです。
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