「えっ… もうこんな時間…」
真奈美さんは慌てて時計を確かめました。
「ごめんなさい。保険のプランを説明させて下さいってお願いしておきながら、全然関係のない話ばかりしちゃいましたね…」
「いえ… いいんです」
本当はもっといろんな話がしたいのに…
きっと彼女だってその方が楽しいから、つい時間を忘れて
「じゃあ… 急いで説明しますね…」
真奈美さんはバックから資料を取り出しました。
「でも… 今からじゃ遅いですよね… 明日、また昼休みに会社に伺いますから、その時でもいいですか」
「明日の昼は都合が悪いんです… 」
私はとっさに嘘をつきました。
会社などではなく、今夜のように外で会い、まるでデートのような時をもう一度過ごしたかったからです。
「じゃあ… 川島さんの都合が良ければ、金曜日の夜に会えませんか。その時にはちゃんと説明しますから」
彼女は、お詫びには相応しない笑顔で私に提案します。
私はわざと仕方なさそうに頷きました。
もしかしたら、真奈美さんは保険のセールスを理由にして、自分と親しくなりたいのかも…
だから今夜、保険の話をしなかったんだ…
今に思えば、それは私の身勝手な解釈… 願望なのかも知れません。
ですが、この時は淡い期待にすがりたい想いで必死だったのです。
私と真奈美さんは店を出て駅へと歩きました。
「あ… 会社に電話しなきゃ」
彼女はそう言うとバックから携帯を取り出し、人混みを避けるため通路の脇に寄りました。
「水沢です。今、終わりました… 今日は直帰しますので」
私は無意識に聞き耳を立てました。
「見込みは半々ですね… 金曜日、また会う約束を取りましたので… はい… なんとか頑張ります」
それは有頂天になっていた私の想いを、無残に打ち砕くような言葉でした。真奈美さんと過ごした思いがけない今夜の時間に、デート気分に浸った自分の愚かさを思い知らされたのです。
彼女にとってはただの仕事に過ぎなかったんだ…
自分は大勢の見込み客の一人なだけなんだ…
「お待たせしました。じゃあ… また今度、よろしくお願いします」
真奈美さんとは駅ビルの中で別れました。改札に向かう彼女の後ろ姿を見つめていると、理不尽な怒りが次第に込み上げてきたのです
自分自身の不甲斐なさに対して…
人妻である真奈美さんに淡い想いを抱いた軽薄さに対して…
私は目的もなく、駅に隣接したデパートの中に入りました。
このまま電車に乗り、真っ暗な自分の部屋に帰る気持ちにならなかったのです。
時間が経つにつれ、自身に対する怒りは真奈美さんへと向けられました。
私の想いをもて遊び、契約を取るための対象としてしか見ていない彼女に、理不尽な苛立ちが込み上げてきたのです。
彼女への憤りは、私の中に秘めた淫らな想い… 性の欲望を満たす対象の真奈美さんへと変わったのです。
私はデパートのトイレに入り、個室のドアに鍵をかけ、ズボンを下ろしました。
既に下腹部の茎は強張り、行き場の無い欲望にもがき苦しむように、火照りに包まれながら反り返っています。
欲しい… 真奈美さんが欲しい…
私は肉茎を握りしめ、その手を動かしました。
つい先程までレストランの中で見つめていた彼女の姿を想い浮かべながら、儚い自慰に浸ったのです。
…真奈美さんは体の自由を奪われ、私の前にひざまずいています…
…顔の前に突き出された肉茎から目を反らし、涙を潤ませながら許しを乞います…
…私は彼女のスカートを捲り、下着を引き下ろして、その秘部を先走りの滴る亀頭で貫いたのです…
…中での射精だけは止めてと哀願する彼女を両腕で抱き締め、欲望のままに濃厚な白濁液を注ぎます…
…受精から逃れる彼女の体を押さえ付け、悦楽の迸りが果てるまで下腹部を動かし続けるのです…
私は夢想の中で真奈美さんを陵辱し、その光景に溺れながら、脈打つ勃起から溢れる精を床に散らしました。
虚しく愚かな自慰に身悶え、精を放つ束の間だけでも真奈美さんを自分のものにしたかったのです。
足の支えが抜けそうな体を壁にもたれたまま、最後の迸りが済んだ後も暫くの間、茫然としていました。
一度だけでいいから、真奈美さんへの想いを遂げたい…
たとえ彼女が本心ではそれを望まなかったとしても…
私は、指と指の間に糸のように纏わりつく生暖かい純白の粘液を見つめながら、彼女への醒めやらぬ願いをつのらせたのです。
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