茎を握る彼女の手は、溶け入りそうな滴を漏らす亀頭の先を、幾度も膣口の周りに這いずらせました。
淡い吐息を繰り返しながら、時折、硬くなった陰核を茎の先端で撫でるように触れ合わせますが、膣口の奥へ導き入れようとはしません。
真奈美さんは目を閉じ、心地よい官能の中を漂うような表情を浮かべます。きっと彼女は、夢想の中で描く恍惚の場面が、今の自分自身と重なり合う瞬間を待っているのかも知れません。
彼女がボタンとファスナーを外した着衣を脱ぎかけたまま纏うのも、私にワイシャツとネクタイだけの姿になるように命じたのも、全て架空の場面を再現するための小道具なのでしょう。
もしかしたら、真奈美さんにとっては私自身も「小道具」の一つに過ぎないのかも知れません。彼女の中で私は、他の誰かにすり替えた生身の性具だったのでしょうか。
真奈美さんが今、思い浮かべている人は誰?…
いつもネクタイとワイシャツ姿で真奈美さんと接している会社の人?…
それとも仕事の営業先で出会った憧れの人?…
私は朦朧とする心の中で幾度も彼女に問いかけました。しかし、一度もそれを言葉にする勇気は無かったのです。
真奈美さんの願望がそれで満たされるなら構わない…
彼女の想いの一部でも叶うのなら堪えられる…
悔しさと嫉妬に苛まれながらも、何故か心のどこかでは、そんな真奈美さんがたとえようもなく愛おしいと感じたのです。
私が彼女に寄せる想いが儚いものだと判っていたからでしょうか。
それとも、たとえ誰かの代わりであっても、束の間の相手として自分を選んでくれた幸福を受け入れようとしたからでしょうか。
私には真奈美さんが口にした「遊びのセックス」が意味するものを、少しだけ判りかけた気がしたのです。
秘部の湿りは次第に艶めかしい潤いとなり、愛液と亀頭の滴が一つの粘液となって溶け合いました。
真奈美さんは、まるで降り注ぐ恍惚の高まりに抱きかかえられるように、仰向けの体を少しづつ反らします。小刻みな痙攣が下腹部を震わせ、口元で繰り返す熱い息からは淫らな啜り泣きが溢れたのです。
彼女は張り詰めた茎の先に指を添え、襞の纏わる膣口に重ね合わせると、仰向けのまま目を閉じました。
「川島くん… 挿れて… 私の名前じゃなく、苗字で呼びながら挿れて…」
それは私が耳にした言葉の中で、最も残酷で、最も淫らな響きを持ったものでした。真奈美さんは他の男性を想いながら、私を迎え入れようとしているのです。
心の中で認めたくなかった予感が、無惨にも確信へと変わっていきます。
膣口に触れ合う茎の先端は、仕打ちに対する代償を彼女の秘奥に求めるかのように、熱い脈の鼓動を繰り返しました。
真奈美さんは仰向けの体を反らし、強張りに添えられた手で愛液の滴る膣奥へと亀頭を導いたのです。
み… 水沢さん… 水沢さん…
私は真奈美さんの願いどおり、彼女の姓を耳元で繰り返しながら、潤う膣の中を肉茎でひと思いに貫きました。
硬直した先端で膣壁を押し開き、粘液の纏わる艶めかしい秘奥へと沈めたのです。
彼女は姓で呼びかける私の喘ぎに他の誰かを重ね、背中にまわした手に力を込めました。
息の止まる眩しい快楽が体の中を突き抜け、二人の体は縛り付けられるように一つに固まりました。下腹部だけが微かに震え、滑らかな粘膜にまみれた性器が互いを求めて縮動します。
あられもない悦楽へと引き込まれる喘ぎの声が二人の口元から溢れ出ました。
私は体を締め付ける恍惚の縛りを振り解き、膣奥を貪る茎を激しく揺り動かしたのです。
真奈美さんは乱れた着衣の隙間から肌を晒し、彼女を水沢さんと呼ぶ男性を想い描きながら身を捩らせます。
私は理不尽で無情な苛みを受け入れたまま、螺旋のように交互する悦楽の昂りを求めて、狂おしい茎で膣の奥を幾度もなぞったのです。
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