4月はどの生命保険会社にとっても、新卒社員の新規契約を取るための大切な時期です。
その後、水沢さん以外の生命保険の女性外交員も、頻繁に私の席を訪ねてきました。
大学を卒業したばかりの私にとって、限られた収入の中から生命保険の支払いをすることは用意ではありませんでした。
生命保険を契約するのは来年でもいいかな…
今はまだ、支出を抑えなきゃ…
何人かの外交員の方のプランニングの説明を聞きながら、心の中では早くこの場から解き放たれることを願っていたのです。
水沢さんからなら、説明だけでも聞きたいな…
契約はまだしないけど、あの人の説明なら…
そんなある日、会社の先輩が私に声をかけてきました。
「川島、どこの生命保険に入るか決めたか?」
「いえ、まだです」
「だったら今夜、時間あるか? S生命社主催のパーティーがあるんだ。ま、保険勧誘のためのコネクションが目的なんだろうけど、暇なら一緒に行かないか?」
「でも… 私はまだ契約する気は無いんです」
「いいんだよ、契約なんかしなくても。会費は全部あちら持ちのPRイベントなんだ。うちの社からも何人か行くから、一緒にどうだ」
「あ… それなら行きます」
「もちろん、水沢さんも来るはずだから」
彼女は会社に出入りしている生命保険の外交員の中でも、男性社員の関心を引いていました。
私は内心、彼女と会えることを楽しみにしていたのです。
会場で私を見つけた水沢さんが、私が来たことに驚き喜ぶ姿を勝手に想像し、心のどこかで淡い期待を抱いていたのかもしれません。
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