<前ページより>
快楽に溺れた視界が少しずつ歪みを取り戻した時、吐精を終えた茎の先には、白濁の液に包まれた貴子さんの顔がありました。
貴婦人の額から首筋にかけて、私が彼女を独り占めした証が幾本もの線を描きながら、顔を白く淫らに染めていたのです。
由香里はどんな想いで私の姿を見つめていたか…
そして、私が他人の妻を欲望のままに汚す光景をどう受け入れたのか…
私の行為の全ては、他人が由香里に対して果たして欲しい陵辱そのものでもあったのです。
そして、それは傍らの沢田さんにとっても同じ筈です。
沢田さんは、愛する美しい妻の顔が他人の精液で汚される光景を、交わりの姿を見つめる想いとは別の、倒錯した嫉妬が入り混じった感情で受け止めている筈です。
彼は枕元のティッシュを取ると、貴子さんの傍らに寄り添い、耳元で何かを囁きながら、ゆっくりと私の痕跡を拭き取りました。
彼女は閉じていた目を薄く開け、夫である沢田さんと目線を交わしたのです。
私は由香里を側に抱き寄せ、二人の姿を見つめました。
お互いが信頼し合うからこそ、夫婦を交換することでしか得られない悦びを共有しあえるのかも知れません。
それは沢田さん夫婦にとってだけではなく、私達夫婦にしても同じことなのです。
私は由香里の胸に手を添え、乳房から垂れ落ちる他人の液を指で塗り広げました。
微かに漂う精の香の中で、生暖かいぬめりと粘りが、乳房の肌と指先の間に広がります。
先ほどまで私の目の前で妻と沢田さんが交わっていた姿が、満ち足りた至福の中で蘇ります。
自分の妻と一夜の妻…
私にとっては、一夜の出来事の中であったとしても、ともに愛おしい大切な存在でした。
暫くの静かな時が経った後、私は貴子さんの手を取り、部屋を出ました。二組の夫婦は別々の空間に分かれ、夜の限りが互いを切り離すまで愛欲の時を過ごしたのです。
一夜の限りがあるからこそ他人の妻を愛し、また、他人の夫に全てを委ねることが出来るのかも知れません。
<この章 終わり>
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