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人妻への恋 (7)

新宿での待ち合わせ場所は、駅前の人混みから少し離れた東口のデパート前でした。

巨大なターミナル駅の周りを行き交う人混みの中から、真奈美さんの姿を探しました。

「急に無理なお願いしてごめんなさい。何か予定があったんじゃ…」

息を切らせた真奈美さんが後ろから声をかけました。
彼女の白い上着が、街の眩いネオンの明かりに淡く彩られているかのようです。
今日の午後、オフィスで会った彼女の姿と同じ筈なのに、夕闇に暮れる繁華街の雑踏が、年上の女性である真奈美さんの艶やかさを引き立てます。



「いえ、今日は暇ですから気にしないでください」

私と真奈美さんは、デパートの隣にあるイタリアレストランに入りました。
店の中は明るく落ち着いた色調でコーディネートされ、何組もの男女が楽しそうに夕食の一時を過ごしています。

俺と真奈美さんも、周りから恋人同士って思われているのかも…

テーブルを挟んで目の前に座る真奈美さんに対し、身勝手な想いが心の中を廻ります。

「とりあえず何か食べましょうか。食事はまだですよね」

真奈美さんはメニューを手に取り、私に差し出してくれました。

終始、彼女のペースで段取りが組まれ仕切られることに、不思議と戸惑いを感じることはありませんでした。
むしろ、年上の女性が指し示す流れに従うことに、安らぎに似た心地よさを感じたのです。



もちろん彼女からすれば、私のような保険の契約を取れる可能性のある「客」と接する上での応対なのでしょう。
ですが、数ヶ月前まで学生だった私は、それまで契約やセールスが目的の接客を受けた経験がありませんでした。

そんな私が、真奈美さんの凛とした振る舞いに、年上の女性に対する憧憬に似た感情を抱いたとしても無理はないのかも知れません。
同年代の女性にはない「大人」を彼女から感じながら、その魅力の奥へ深く引き込まれていったのです。

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人妻への恋 (8)

「私も前に中野に住んでいたんですよ」
「え? そうなんですか? 中野の何処だったんですか?」

真奈美さんの意外な話に、私は思わず身を乗り出しました。
彼女はテーブルの上に置かれた食事をとりながら、世間話を続けます。

「早稲田通りの方ですよ。川島さんは南口の方ですよね」
「はい、五差路を高円寺の方に曲がったとこです」
「あ、そっちの方、よく知ってる。中野通りを真っ直ぐ進んだとこに友達が住んでいるから」
「じゃあ、もしかしたら知らないうちに、中野の何処かですれ違ったことがあったりして」
「きっとそうだよね」



真奈美さんとの思いがけない接点に、私は嬉しさを感じながら会話を続けました。
沿線の高円寺や阿佐ヶ谷、吉祥寺のことなど、気が付けばかなりの時間、二人で話していたのです。

年上の女性とだって、気が合えばこんなに楽しく会話が出来るんだ…
きっと真奈美さんだって、年下の男と親密に話せるなんて思ってなかったろうな…

「あの… 真奈美さんは結婚してるんですよね」

私は会話の勢いで、前から気にしていたことを口にしました。

「はい、結婚してますよ」
「やっぱり… だから真奈美さんは『大人』って感じがするんですね」

予想通りの返事に、私は言葉とは裏腹に、心の中では少なからず落胆していました。
彼女は結婚指輪をしていませんでしたが、だからといって独身だとは限りません。
そのことを判っていながら、私は彼女が未婚であることに微かな期待を抱いていたのです。

「じゃあ、真奈美さんはきっと料理が上手なんでしょうね。毎日、食事を作るのは大変でしょう?」

私は失望した心の内を見せまいと、思いついた軽口で取り繕ったのです。

「はい… まあ… でも、それも主婦の仕事ですから」

それまでの真奈美さんの笑顔が、結婚の話をしてから急に表面的なものに変わったことに気付きました。



他人の私が、家庭の中の事を図々しく聞いたりしたから気を悪くしたのかな…

内心、少し焦りながら話題を変えました。

結局、私と彼女は二時間近くも本来の話題以外の会話… 生命保険のプランについての説明を聞くはずが、前に住んでいた場所や最近観た映画、よく遊びに行く街などの話をしていたのです。

保険の説明なんてどうでもいいや…
このまま、真奈美さんといろんな話がしたい…

私はいつの間にか、彼女とデートをしているような気分になっていたのかも知れません。

真奈美さんが自分の彼女だったら、毎日、こんな楽しい時間を過ごせるのに…

彼女が既に結婚している以上、その望みが無いことは判ってはいました。それでも儚く切ない願望として、真奈美さんを目の前に、幾度もそのことが頭をよぎるのです。

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人妻への恋 (9)

「えっ… もうこんな時間…」
真奈美さんは慌てて時計を確かめました。

「ごめんなさい。保険のプランを説明させて下さいってお願いしておきながら、全然関係のない話ばかりしちゃいましたね…」
「いえ… いいんです」

本当はもっといろんな話がしたいのに…
きっと彼女だってその方が楽しいから、つい時間を忘れて
「じゃあ… 急いで説明しますね…」



真奈美さんはバックから資料を取り出しました。

「でも… 今からじゃ遅いですよね… 明日、また昼休みに会社に伺いますから、その時でもいいですか」
「明日の昼は都合が悪いんです… 」

私はとっさに嘘をつきました。
会社などではなく、今夜のように外で会い、まるでデートのような時をもう一度過ごしたかったからです。

「じゃあ… 川島さんの都合が良ければ、金曜日の夜に会えませんか。その時にはちゃんと説明しますから」

彼女は、お詫びには相応しない笑顔で私に提案します。
私はわざと仕方なさそうに頷きました。

もしかしたら、真奈美さんは保険のセールスを理由にして、自分と親しくなりたいのかも…
だから今夜、保険の話をしなかったんだ…

今に思えば、それは私の身勝手な解釈… 願望なのかも知れません。
ですが、この時は淡い期待にすがりたい想いで必死だったのです。



私と真奈美さんは店を出て駅へと歩きました。

「あ… 会社に電話しなきゃ」

彼女はそう言うとバックから携帯を取り出し、人混みを避けるため通路の脇に寄りました。

「水沢です。今、終わりました… 今日は直帰しますので」

私は無意識に聞き耳を立てました。

「見込みは半々ですね… 金曜日、また会う約束を取りましたので… はい… なんとか頑張ります」

それは有頂天になっていた私の想いを、無残に打ち砕くような言葉でした。真奈美さんと過ごした思いがけない今夜の時間に、デート気分に浸った自分の愚かさを思い知らされたのです。

彼女にとってはただの仕事に過ぎなかったんだ…
自分は大勢の見込み客の一人なだけなんだ…

「お待たせしました。じゃあ… また今度、よろしくお願いします」

真奈美さんとは駅ビルの中で別れました。改札に向かう彼女の後ろ姿を見つめていると、理不尽な怒りが次第に込み上げてきたのです



自分自身の不甲斐なさに対して…
人妻である真奈美さんに淡い想いを抱いた軽薄さに対して…

私は目的もなく、駅に隣接したデパートの中に入りました。
このまま電車に乗り、真っ暗な自分の部屋に帰る気持ちにならなかったのです。

時間が経つにつれ、自身に対する怒りは真奈美さんへと向けられました。
私の想いをもて遊び、契約を取るための対象としてしか見ていない彼女に、理不尽な苛立ちが込み上げてきたのです。

彼女への憤りは、私の中に秘めた淫らな想い… 性の欲望を満たす対象の真奈美さんへと変わったのです。

私はデパートのトイレに入り、個室のドアに鍵をかけ、ズボンを下ろしました。

既に下腹部の茎は強張り、行き場の無い欲望にもがき苦しむように、火照りに包まれながら反り返っています。

欲しい… 真奈美さんが欲しい…

私は肉茎を握りしめ、その手を動かしました。
つい先程までレストランの中で見つめていた彼女の姿を想い浮かべながら、儚い自慰に浸ったのです。



…真奈美さんは体の自由を奪われ、私の前にひざまずいています…
…顔の前に突き出された肉茎から目を反らし、涙を潤ませながら許しを乞います…
…私は彼女のスカートを捲り、下着を引き下ろして、その秘部を先走りの滴る亀頭で貫いたのです…
…中での射精だけは止めてと哀願する彼女を両腕で抱き締め、欲望のままに濃厚な白濁液を注ぎます…
…受精から逃れる彼女の体を押さえ付け、悦楽の迸りが果てるまで下腹部を動かし続けるのです…

私は夢想の中で真奈美さんを陵辱し、その光景に溺れながら、脈打つ勃起から溢れる精を床に散らしました。
虚しく愚かな自慰に身悶え、精を放つ束の間だけでも真奈美さんを自分のものにしたかったのです。

足の支えが抜けそうな体を壁にもたれたまま、最後の迸りが済んだ後も暫くの間、茫然としていました。

一度だけでいいから、真奈美さんへの想いを遂げたい…
たとえ彼女が本心ではそれを望まなかったとしても…

私は、指と指の間に糸のように纏わりつく生暖かい純白の粘液を見つめながら、彼女への醒めやらぬ願いをつのらせたのです。

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東京都内に住む30代の会社員です。

数年前に、ある方と知りあったことをきっかけに、寝取られと夫婦交換の世界を体験しました。

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